長者屋敷
(ちょうじゃやしき)

県指定史跡

               磐田市寺谷     


▲長者屋敷は発掘調査の結果古代における地方官衙
的施設と推定されているが謎の多い遺跡でもある。
(写真・南面土塁と説明板)

謎の方形施設

この遺跡は土塁が四方に巡らされており、古くから有力者の居館跡であったのではないかと考えられてきており、それが長者屋敷という字名となって残されてきた。

昭和46年(1971)の発掘調査では郭内平坦部に掘立柱の建造物跡と7〜8世紀の須恵器、土師器等が多量に発見された。さらに昭和50年(1975)の調査では土塁南面の外側に堀の存在が確認されている。出土物や土塁の構造等からみて古代の創築であり、地方官衙的施設であったと考えられるとされ、静岡県の史跡に指定されている。

現地を訪れると四方を囲む土塁が良好な形で残っており、その内側に堀が掘られていることに驚く。どう考えても中世の方形居館跡、または戦国期の陣城、あるいは兵站施設ととらえる方が多いのではないかと思われる。南面虎口の外側にはさらに小土塁の跡が見られ、もしや馬出の名残ではないかとも思わせられる。

戦国期には武田氏と徳川氏の抗争が繰り広げられた地域でもあり、ここの南西近くには土豪の匂坂氏が居城(匂坂城)を構築している。それらとの関連性も考えられるが、いかんせん史料的な裏付けが無いがために謎のままである。


▲南面の土塁と堀と小土塁。

▲全周にわたって土塁の内側に堀が巡っている。

▲遺跡入口に建つ看板と史跡碑。

▲入口には2〜3台分の駐車スペースがある。

▲入口に立つ説明板。付近には古墳が点在しており、この辺が古代から人々の生活圏であったことがわかる。

▲まずは南面の土塁が目に入る。

▲遺跡の説明板に目を通してから郭内へ向かう。

▲南面中央の虎口というか出入り口。北東隅にも出入り口がある。

▲郭内の様子。

▲内側から見た土塁。

▲土塁の内側に堀がある。
----備考---- 
訪問年月日 2022年10月11日 
 主要参考資料 「静岡県中世城館跡」

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